2022 年 78 巻 7 号 p. III_125-III_134
ろ過膜の劣化による微細構造の変化や微小損傷に起因する阻止性能低下は,従来の完全性試験での検知が困難である.そこで,新たな検知手法として,フローサイトメトリー(FCM)によるウイルス粒子定量を応用することを目指して,FCMによるウイルス粒子定量性に影響する夾雑物の除去方法,およびろ過膜チャレンジテストへの適用性を検討した.超遠心分離,培地除去とDNase, 培地除去の3種の精製方法について夾雑物の除去効果を評価したところ,超遠心分離,および培地除去とDNaseで高い精製効果と定量性が得られたが,超遠心分離ではウイルスの不活化影響が示唆された.培地除去とDNaseによる精製方法を精密ろ過膜のチャレンジテストに適用した結果,使用済み膜のT4ファージ阻止性は2log程度であり,また培養法から得られた阻止性と同程度であった.これらより,FCMによるウイルス粒子定量がチャレンジテストへ応用可能であることが示された.