2022 年 78 巻 7 号 p. III_223-III_231
本研究では,下水汚泥と地域バイオマスを用いた新規下水汚泥肥料の量産化試験を5m3規模で実施し,得られた肥料の成分分析,窒素無機化試験,植害試験および茶栽培試験を行った.その結果,全窒素量3.6~3.9乾物%で,かつ低重金属含有量の肥料を量産化することができた.また新規下水汚泥肥料は,アンモニア態窒素を0.95%含んでいることから,好アンモニア性植物の茶樹に適していると考えられた.窒素無機化試験では新規下水汚泥肥料は有機質肥料の菜種油粕と無機化パターンが大きく異なることがわかった.植害試験では新規下水汚泥肥料を用いた試験区は生体重指数が115以上(対照肥料区87~115,標準区100)であり,生育阻害物質は含まれていないと考えられた.さらに茶栽培試験では菜種油粕と同等以上の収量を得ることができ,新規下水汚泥肥料を茶栽培へ適用できることがわかった.