2022 年 78 巻 7 号 p. III_253-III_262
火力発電所6施設の冷却系水路を対象に,3回の採水調査と計18水路系統71清掃機会の廃棄物処理量データを基に,潜在的餌料としての流入有機物量と水路付着生物の餌要求量の比(S/D)を推定した.その結果,S/Dは,付着生物の生産/バイオマス比を基に0.48―23.8(中央値3.55),付着生物のろ過摂食量を基に0.21―19.2(中央値1.99)とそれぞれ推定された.水路への有機物流入量や付着生物の餌要求量と同量の有機物を除去するのに,水路取水口前面海域にカキを水深10mまで垂下養殖しろ過摂食させる場合,必要面積は数万m2のオーダーと推計された.現状では生物付着対策のための取水口前面海域の利用に向けては,利害関係者間の調整等が容易ではないと考えられる.しかし,他の生態系サービスの創出と関連付けることで本アプローチへの理解と実現の可能性を高められるかについて検討の余地がある.