2022 年 78 巻 7 号 p. III_241-III_252
阿蘇五岳と外輪山によって盆地形状となっている火口原地域においては,大気汚染常時監視のような体系的な観測は行われておらず,SO2ガスの濃度レベルや分布特性など全容は明らかになっていない.本論では,火口原地域において大気環境観測車により観測された二酸化硫黄SO2の濃度データと種々の気象データを分析して,環境基準を超過する高濃度事象と気象状況との関連性を検討した.加えて,WRFによる数値計算を実施して,火口から火口原底部の濃度観測地点に至るまでのSO2の鉛直輸送メカニズムを検討した.高濃度事象日を対象とした気象データの分析ならびに数値計算結果より,山岳波による斜面下降風(trapped lee wave)や山風による鉛直方向の輸送によって高濃度状況が生じることを明らかにした.