土木学会論文集G(環境)
Online ISSN : 2185-6648
ISSN-L : 2185-6648
環境工学研究論文集 第59巻
底面桟粗度付き未成魚ウナギ用斜路式魚道の遡上特性
鬼束 幸樹墨 勇哉夏山 健斗
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 78 巻 7 号 p. III_415-III_423

詳細
抄録

 ウナギの遡上には魚道底面に円柱突起物を施した魚道が有効であることが解明されつつある.しかし,テープ状のゴミや可撓性のある長い植生の断片などが魚道内に流れ込むと円柱突起物に絡んで間隙が閉塞され,遡上が困難になることが危惧される.本研究では,上記の問題を解決可能な底面に桟粗度を有するウナギ用斜路式魚道を提案した.桟粗度間隔を50~200mm,流量を140~540ml/sに変化させ,全長200mmのニホンウナギ未成魚の遡上に適した桟粗度間隔を探索した.その結果,100mm,つまり全長の0.5倍が桟粗度間隔として適していると判明した.これは,桟粗度間隔が全長の0.5倍の場合は桟粗度間の溝に躯幹を入れ込みやすいために壁面摩擦を得ることができ,また,上流側桟粗度を乗り越える際に下流側桟粗度を遡上反力の支持物体として利用可能なためである.一方,桟粗度間隔が全長の0.25倍では桟粗度間に躯幹を入れ込みにくく,全長の0.75倍以上では下流側桟粗度に尾部が接触しづらいために,共に遡上率は低下する.

著者関連情報
© 2022 公益社団法人 土木学会
前の記事 次の記事
feedback
Top