土木学会論文集G
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和文論文
一時的水域の魚類群集多様性向上への寄与とそれを支える物理環境に関する研究
傳田 正利天野 邦彦辻本 哲郎
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2006 年 62 巻 3 号 p. 340-358

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抄録
 本研究では,一時的水域(ワンド・タマリ,Temporary Water Area,以下,TWAと略記)が有する魚類群集多様性向上機能とそれを支える物理的環境を,詳細な魚類調査,水理計算,GISによる水理計算結果の解析を併用することで評価した.その結果,TWA及びその周辺には,出水時でも魚類が利用可能な低流速空間が出現し,魚類はその空間を利用しながら下流への流下を回避する.すなわち,本流とTWA間の移動を行うことで生存可能性を高めていると考えられた.これは,既往研究がTWAの特徴的な魚類群集を形成する上で,接続頻度,面積,干上がり等が重要であると指摘していたのに加え,出水時の物理的環境,特に流速の面的かつ時間的変化がTWAの魚類群集形成に影響を及ぼしうる興味深い結果である.
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© 2006 社団法人 土木学会
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