抄録
本研究では,強冷法シーディングによる豪雨に対する降水抑制の有効性および信頼性を評価するため,積雲発生初期における面的・離散的・動的シーディングに関する実験的な数値シミュレーションを行い,条件や手法の違いによる抑制効果と促進リスクの有無や大小について検討を行った.その結果,従来の面的シーディングによる氷晶核数濃度の操作倍率が大きい大規模なシーディングではなく,操作倍率が小さく実施領域が限定された比較的小規模な(離散的・動的)シーディングであっても一定の降水抑制効果が得られる可能性があることが示唆された.また,抑制メカニズムの解析を行った結果,線状降水系の事例ではシーディングによって鉛直風速の弱化が降水抑制に繋がることや,降水促進リスクが他の事例より小さい傾向にあることが確認された.