2020 年 76 巻 2 号 p. I_19-I_24
本研究は流域における降雨の空間分布に着目し,降雨量の空間偏差が生じる要因を鉛直風速の頻度と鉛直風速と降雨強度の関係を用いて力学・熱力学効果に分類する手法を提案するものである.同手法を十勝川帯広基準地点流域における5km解像度の大量アンサンブル大雨データに適用した結果,降雨の空間的な偏差に対しては熱力学効果が支配的であり,力学効果は日高山脈周辺での相対的な降雨量の高まりに寄与することがわかった.また,温暖化進行後では降雨量および降雨の空間的な偏差は大きくなるものの,力学・熱力学効果の空間分布は過去の気候の分布と類似しており,降雨偏差の要因は大きく変わらないことが示された.ただし,温暖化進行後の気候における空間偏差の高まりは日高山脈周辺では力学効果と熱力学効果,流域北東の大雪山系の一部では熱力学効果によりもたらされることがわかった.