2021 年 77 巻 2 号 p. I_31-I_36
九州の一級河川4流域を対象に,地球温暖化による降雨および河川流量の変化特性について,d4PDF過去実験および4℃上昇実験結果のうち各年の48時間年最大降水量イベントに着目した解析を行った.48時間年最大降水量を記録する月別の割合は流域によって差がみられ,九州北部と比較して九州南部のほうが夏季の頻度が高くなることが示された.次に、温暖化により全流域で大洪水の頻度が増加することに加え,イベント毎のハイエトグラフのピーク数が全流域で減少傾向となり,一山洪水や二山洪水などを引き起こす豪雨イベントが増加することが分かった.本研究により,温暖化によって降水量の増加だけではなく,イベント内のハイエトグラフのピーク数が減少することで,洪水ピーク流量の増加が生じる可能性が示された.