2021 年 77 巻 2 号 p. I_397-I_402
本研究では,既存の実験データと新たな河床変動実験データから,安定状態にない河道が安定河道へと至るプロセスを把握するとともに,現況河道の状況把握と護岸の被災ポテンシャル評価に有効なパラメータの検討を行った.安定河道条件に基づき,実験結果及び実河川のデータを検討することで,(1)河道が動的平衡状態へ向かう場合,護岸等による川幅の拘束に関係なく時間の経過とともに安定河道形状に漸近するが,川幅の拘束がある場合には勾配を変えながら安定河道に近づくこと,(2)安定河道と現況河道断面の比較から,河道の変動特性が把握可能なこと,実河川との比較から河床低下・河岸侵食による被災ポテンシャルの高い区間の推定には,自然安定河道の無次元掃流力と川幅水深比の関係を表すK値と縦断的な安定河道の発生条件が有効な指標になること,などが確認された.