2021 年 77 巻 2 号 p. I_463-I_468
梅雨末期における豪雨災害は日本各地に甚大な被害をもたらすことから,梅雨前線に伴う降雨の将来変化を予測することは防災上,非常に重要である.本研究では,2006年から2020年の九州地方の梅雨期における前線の降雨量への寄与を調べ,前線が九州地方に8日以上停滞していた4イベント全てにおいて豪雨災害が発生していたことを明らかにした.また,物理的指標による前線の抽出は,前線の将来変化の予測において有用な数値手法であり,手法の検証が重要である.数値手法の一つであるF判定により大気データから抽出した前線と天気図に示された前線を比較することで,F判定で用いる物理的指標が前線を伴う温帯低気圧の発達とともに大きい値をとることを示した.