2021 年 77 巻 2 号 p. I_583-I_588
宮崎県北部の上椎葉ダムでは上流集水域からの濁水流入の著しく,その主たる土砂生産域は斜面崩壊後の裸地面である.本研究では集水域内数か所の崩壊地および河道堆積土砂を採取し,鉱物学的手法により流入濁水および貯水池底泥との鉱物組成の類似度を比較した.その結果,支流の不土野川流域の斜面崩壊地の濁質生産寄与が大きい可能性が示された.さらに同崩壊地の表土をPICで団粒化し,流亡抑制する可能性を検討した.PIC施工区は雨滴による土壌はく離を大きく抑制できるが,時間経過とともに発達するひび割れが表面側方流に対する耐性を下げ,土砂生産量がやや多くなる傾向が見られた.