2021 年 77 巻 2 号 p. I_91-I_96
現業中期アンサンブル降水予報と予測特性を考慮した多目的ダムの事前放流決定手法の検討を行った.気象庁週間予報(WEPS)の降水量予報値を用い,大規模な洪水発生の可能性や貯水位回復可能性を踏まえながら事前放流を効果的に行う手法を開発した.このとき,各メンバの予測降水量の順位別に精度解析を行い,誤差特性を踏まえて事前放流の実施方法を決定した.モデルダムの長期操作シミュレーションにより有効性を検証した結果,粗い空間解像度の予報を利用する場合でも,不要な事前放流を抑えつつ,洪水調節容量が不足する大規模な出水に対しては早期から段階的な事前放流が実施できる可能性が示された.