2023 年 79 巻 13 号 論文ID: 22-13027
2022年3月の福島県沖地震において,東北新幹線の2層式RCラーメン高架橋の中層梁損傷が広範囲で確認された.一般的に,2層式高架橋における中層梁損傷は,柱部の損傷低減に繋がるとされているが,当該地震で確認された中層梁の損傷モードはせん断破壊型であり,理想とするエネルギー吸収性能が発揮されていないといえる.また,中層梁損傷が高架橋の耐震性能に与える影響についての検討は過去に実施されているが,中層梁損傷が地震後の列車走行性に与える影響についての検討事例は見当たらない.そこで本研究では,構造物の耐震性能と社会へ提供されるサービス水準の定量的関係に関する検討の一例として,中層梁の損傷モードの違いに着目した数値解析を実施し,構造物の耐震性能と地震後の列車走行性に与える影響の定量化に向けた検証プロセスを示した.