2023 年 79 巻 13 号 論文ID: 22-13042
本研究は,地震により被災した橋脚の復旧性能向上を目指し,プレストレスにより残留変位を低減し,断面コア部に鋼管を配置することにより損傷部を速やかに補修可能とするPC橋脚構造を提案する.提案構造に対して正負交番載荷実験を行い,基本的な耐震性能や復旧性能を検証した.実験結果から,鋼管を有するPC橋脚では,復旧性能が向上する程の残留変位低減効果は確認されなかった.載荷終了後,鋼管に破断や座屈等の損傷は確認されず,残留変位を低減できれば地震後速やかに損傷部を補修できる可能性を示した.また,RC部材の履歴特性としてTakedaモデルによるM-φ関係を用いた実験の再現解析を行い,緊張材の軸力変動による影響を考慮できない問題点はあるが,実験結果をある程度再現できた.