2024 年 80 巻 12 号 論文ID: 24-00023
高速道路の山岳トンネルにおいて,矢板工法で建設されたものは,材質劣化等により変状が顕在化しているものがある.この変状対策の一つとして,ロックボルトの打設,既設覆工の切削,防水工,および薄肉の覆工(再生覆工体,繊維補強コンクリート)を構築する覆工再生工法がある.
本論文では,この工法で用いる覆工体の耐震性能を応答変位法および時刻歴応答解析法によって性能評価を実施した.その結果,再生覆工体は,地山のせん断弾性波速度Vsが400m/s以上であれば耐震性能2を確保できることを確認した.なお,せん断弾性波速度Vsが400m/sである地盤とは,矢板工法またはNATMで建設される山岳トンネルが標準設計可能な地盤であると評価できた.さらに,本稿で得られた成果から,応答変位法を用いた耐震性能評価法を提案した.