土木学会論文集
Online ISSN : 2436-6021
80 巻, 12 号
通常号(12月公開)
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
構造工学,地震工学,応用力学
論文
  • 竹谷 晃一, 阿久津 絢子, 安田 英明, 中川 和巳, 今枝 徳靖, 長船 寿一, 佐々木 栄一
    2024 年80 巻12 号 論文ID: 24-00082
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/20
    ジャーナル 認証あり

     高速自動車道路や高速鉄道に設置されている遮音壁は,アンカーボルトの腐食や定着部の経年劣化,地震や台風,走行風による外力が原因で損傷することがあり,目視困難な箇所を含めた点検とその効率化が求められている.本研究では,遮音壁支柱の振動挙動に着目し,基部の拘束条件の違いで非対称振動が生じることを実験から明らかにした.そのうえで,非対称の回転ばねを用いた多自由度の回転振動系モデルを用いて,ロッキング振動を含む非対称振動を数値解析で再現した.損傷検知について卓越振動数と振動形状に着目して検討を行った結果,変位の非接触計測から瞬間振動数を誤差1%以内で同定できることを示した.さらに,瞬間変位からアンカーボルトによる拘束状態を評価できる可能性を示した.

  • 服部 雅史, 岩井 将樹
    2024 年80 巻12 号 論文ID: 24-00120
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/20
    ジャーナル 認証あり

     本研究は,本線の重量計測装置で収集した大型自動車の荷重データから荷重実態を把握した上で,鋼部材の溶接部を主な対象として累積疲労損傷度を推定する方法を検討したものである.具体的には,まず概ね1年間,26断面の本線の荷重データから荷重実態を調査した.次に,荷重データと定常的にデータを蓄積している交通データとの関係性を整理し,交通データのみから累積疲労損傷度を推定する方法を提案した.また,その推定方法の精度を荷重データから直接求まる累積疲労損傷度と比較することで確認した.最後に,鋼床版のUリブ・デッキプレート溶接部の疲労き裂や,都市間高速道路のネットワーク全体を対象にしたケーススタディにより推定方法の有用性を示した.

河川・海岸・海洋工学と水文学
論文
  • 加藤 大輔, 加藤 雅也, 田中 智大, FENG Shi , 立川 康人
    2024 年80 巻12 号 論文ID: 24-00068
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/20
    ジャーナル 認証あり

     分布型降雨流出モデル1K-DHMの汎用性の高いパラメータ値を得るため,複数洪水の多地点の流量データを同時に用いて土地利用別のモデルパラメータ値を一度に同定する手法を新たに開発した.開発した手法を菊池川に適用した結果,Nash係数が上位10位以内のパラメータ値はいずれの土地利用でも類似しており,土地利用による違いも明瞭であった.Nash係数が最も高いパラメータ値の再現性を,菊池川を含む九州地方の15流域(104地点)において5つの洪水事例で検証したところ,Nash係数が0.5以上0.8未満の地点が41地点,0.8以上の地点が47地点となり,特に上流域の面積が500km2程度以上であれば,多様な流域の流量を高い精度で再現できることが確認された.これらの結果から,流域の土地利用を反映した頑健性の高いパラメータ同定を実現できたと考えられる.

  • 田中 智大, 北口 慶一郎, 立川 康人
    2024 年80 巻12 号 論文ID: 24-00161
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/20
    ジャーナル 認証あり

     ダム再開発や事前放流操作など気候変動に備えたダム治水能力の増強を進めるうえで,既設ダムが最大限に発揮し得る治水効果を知ることは有効である.本研究は将来の流入量予測精度の向上により洪水期間中のダム流入量が得られ,ある程度柔軟なダム操作が可能である状況を想定し,d4PDF 4度上昇シナリオの極端洪水事例に対してダム操作を数理的に最適化した場合にダムの既設容量が発揮する最大治水効果を評価した.その結果,最適操作による治水効果は特に相当雨量が150mm程度以上のダムにおいて,容量増加に匹敵する治水効果を発揮することがわかった.ダム流入量予測を用いたダム操作が実現すれば,気候変動下でもダム再開発や事前放流等と併せて治水効果が大きく向上し得ることを示した.

地圏工学
論文
  • 鈴木 健, 鯨井 巧, 鈴木 俊雄, 木村 定雄
    2024 年80 巻12 号 論文ID: 24-00023
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/20
    ジャーナル 認証あり

     高速道路の山岳トンネルにおいて,矢板工法で建設されたものは,材質劣化等により変状が顕在化しているものがある.この変状対策の一つとして,ロックボルトの打設,既設覆工の切削,防水工,および薄肉の覆工(再生覆工体,繊維補強コンクリート)を構築する覆工再生工法がある.

     本論文では,この工法で用いる覆工体の耐震性能を応答変位法および時刻歴応答解析法によって性能評価を実施した.その結果,再生覆工体は,地山のせん断弾性波速度Vsが400m/s以上であれば耐震性能2を確保できることを確認した.なお,せん断弾性波速度Vsが400m/sである地盤とは,矢板工法またはNATMで建設される山岳トンネルが標準設計可能な地盤であると評価できた.さらに,本稿で得られた成果から,応答変位法を用いた耐震性能評価法を提案した.

土木計画学
論文
  • 山本 理久, 瀬谷 創, 泊 将史, 村上 大輔, 安田 昌平
    2024 年80 巻12 号 論文ID: 24-00109
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/20
    ジャーナル 認証あり

     本研究では,ETC2.0プローブデータのみを用いて交差点付近における車両の滞留範囲をデータドリブンに特定する手法を開発する.具体的には,交差点付近で一定期間(例えば1か月)蓄積した車両軌跡データを20mに分割した道路リンクにマップマッチングし,分割リンクごと・時間帯(例えば20分間隔)ごとの時間平均速度の中央値を隣接リンクにおけるデータ間の相関を考慮しながら時空間カルマンフィルタによって安定化するとともに,滞留有無の判定に求められる閾値を慣習的な20km/hではなく,時間平均速度の中央値の1日の中での分散の交差点からの距離に対する変化点を用いて設定する方法を考案し,神戸市の渋滞交差点における信号現示変更の影響のモニタリングを例にその適用性を示す.

  • 石橋 澄子, 松場 拓海, 川合 春平, 谷口 守
    2024 年80 巻12 号 論文ID: 24-00143
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/20
    ジャーナル 認証あり

     近年は活動の場がサイバー空間に移行して外出せず生活できるようになりつつあり,健康面等での問題が懸念される.このような中で活動の場を実空間に取り戻すRX(Real Space Transformation)には,肯定的な感情をもって外出する人を増やすことが重要になる.本研究では独自アンケートを用い,外出が嫌いな人(n=588)を対象として外出に対する否定的な感情をもたらす要因を分析し,それを取り除く方策を検討した.その結果,外出のコストや他者との関わりに負担を感じること,健康や巡り合いに価値を感じないこと,サイバー空間を好み外出の必要性を感じないこと,外出先の活動や人間関係を低く評価していること等が要因となり得ることが分かった.またこれらの組合せによって異なる方策が必要なことが示唆された.

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