2024 年 80 巻 13 号 論文ID: 23-13127
筆者らは,摩擦材による増し杭の接合方法(以下,摩擦接合杭)を検討してきた.摩擦接合杭は,摩擦接合面に滑動が生じることで履歴減衰を期待する構造である.既往の模型実験では,摩擦接合面に作用するせん断力を直接計測できておらず,履歴減衰メカニズムの検証に課題があった.本研究では,摩擦接合面の履歴減衰メカニズムの把握を目的として,数値解析により実験の再現解析を行うとともに,摩擦接合面の挙動を詳細に検証した.模型実験の再現解析の結果,摩擦接合面には滑動に伴う履歴減衰が発揮されていることが明らかとなった.また,履歴減衰が最も大きくなる導入摩擦力を設定することにより,振動卓越周期,最大応答加速度PSA,SI値を低下させることができ,列車走行安全性を損なうことなく補強可能であることが示唆された.