2024 年 80 巻 6 号 論文ID: 23-00198
トンネル掘削断面外を含めた地質構造とトンネルの交差関係がトンネルの変形に及ぼす影響を明らかにするために研究を行った.文献調査から,断層破砕帯や割れ目を多く含む弱層が分布する場合に変状事例が多いことがわかった.次に,そのような地山でのトンネル施工記録を分析した結果,傾斜が緩い弱層が分布する箇所でインバート掘削面の変位量が大きい傾向が見られることがわかった.さらに,岩石試験の結果から,割れ目の多い地山で,スレーキング指数が大きい場合には盤ぶくれ量が大きい傾向にあることがわかった.そして,数値解析の結果,トンネルの変形箇所や変位量にはトンネルと弱層の交差関係が影響していることが示された.トンネルの変形を防止するためには,割れ目を多く含む弱層の把握とその連続性を考慮することが重要である.