2024 年 80 巻 9 号 論文ID: 23-00052
財政効率化とソーシャルファイナンスの台頭を背景に,社会課題解決に対する成果指標によって支払変動するPFS(Pay for Success:成果連動型民間委託契約)と投資モデルSIB(Social Impact Bond)の組合せがヘルスケア分野で実績を挙げてきている.2021年,まちづくり分野では国内初のPFS/SIBによる市街地空洞化対策が前橋市で開始された.本研究の目的は,前橋市での実践を通じてその有効性及び,次事業や他都市へ適用する際の課題を整理することである.結論としては,PFSでは受託者が実施内容を工夫しながら成果指標達成を目指すインセンティブ方式がまちづくりにおいて効果があることを確認した.また,財務基盤脆弱な民間まちづくり法人には成果支払いを待ってのキャッシュフローを確保が困難であり,SIBによる資金確保は有効であるがその組成には新しい仕組み故の課題があることを確認した.