2025 年 81 巻 1 号 論文ID: 24-00209
本研究では,石積構造物に近接して浅いトンネルを掘削する際の力学的相互作用を把握するため,石積構造物模型を用いてモデル実験を行った.トンネルの掘削は降下床の下降で模擬し,石積構造物とトンネルの水平方向の相対位置や土被り,石垣の形状を変え,石積構造物の変形や周辺地盤の反応を観察した.その結果,石積構造物に及ぼすトンネル掘削の影響は石垣とトンネルの位置に支配され,石垣前方の地中を掘削する場合は石垣が陥没,転倒するモードで変形を生じること,石垣直下の掘削の場合,地盤とともに鉛直下に沈むように変形する,石垣背面側での掘削の場合,石垣を含む地盤内で円弧すべり面が生じる,と両者の位置関係によって出現するモードが分類できることが明らかになった.