2025 年 81 巻 13 号 論文ID: 24-13522
本研究では,原子力発電所における敷地内浸水評価用の津波シナリオに想定される不確実性を定量的に評価するための枠組み構築を最終的な目的とする.敷地での応答が内包する不確実性は,波源特性や破壊分布,波源と原子力サイトとの位置関係,地形形状の不確実性など多様であり,これらを分類して定量化することが重要となる.本研究では日本海溝沿いの想定地震に対し,津波解析の不確実性を表す特徴量を算定し,機械学習を用いて,サイト近傍の汀線上での津波高さに及ぼす特徴量の影響度分析を実施した.日本海溝沿いの波源に対しては,波動場の南北方向の広がりおよび初期水位の最大値に関わる特徴量の影響が大きい結果となった.また複数地点を考慮した場合,波源と評価点との位置関係が重要であることが明らかとなり,特徴量の妥当性を示した.