2025 年 81 巻 15 号 論文ID: 24-15009
本研究は,水深方向の水平・鉛直方向流速分布を考慮し,非静水圧を取り扱える1次元水深積分モデルを新たに構築したものである.本モデルの基礎方程式には,流下方向流速と鉛直方向流速に3次関数の水深方向分布を,圧力分布に2次関数の水深方向分布として水深積分することで得られる水深平均の方程式と半水深を原点とした重み付き残差方程式を用いた.離散化には風上差分法と流束差分離法を用い,非静水圧項の収束計算にはNewton-Raphson法を用いた.本モデルを既存のダム破壊流れの実験結果に適用し,その再現精度を検証した.その結果,本モデルが浅水流方程式に基づく解析結果に比べ,ダム破壊流れの実験結果の再現性が向上することが確認された.一方で,解析法の見直しにより収束性の改善の必要性も確認された.