抄録
侵食対策を進めるに際しては経済投資効果が強く求められるため,工学的に最適と考えられる手法ではなしに応急的な対策を進めざるを得ない場合が多い.また,漂砂バランスの崩れから侵食が発生した場合,被害の著しい場所から対策を進めることは侵食区域を下手側に移すのみの結果に至ると知りつつも,社会的条件がそれを許さないこともある.問題の解決を図るにはこの種の問題について正面から取り組み,制度の改善をも含む取組が必要である.本研究では,九十九里浜南部の一宮・一松海岸で現在起きている解決が困難な侵食問題について掘り下げ,この種の問題について考察した.