2018 年 74 巻 2 号 p. I_629-I_634
海上工事においては長期間の高精度気海象予測データの入手が望まれる.そこで,本研究では気象庁が2017年夏から提供を始めた1ヶ月気象アンサンブル(日本域高解像度)をWAMの入力風として波浪計算することで得られた1ヶ月波浪アンサンブルデータを用いて,海上工事における適用性について検討した.摂動を与えないControl runと比較するとアンサンブル平均を用いた予測はRMSE,的中率においても精度向上が期待できることが分かった.また,ブライアスキルスコアを用いた評価の結果,特に日本海側では気候学的予測と比較してアンサンブル予測を実施することは価値がある結果となった.さらに,船舶退避などが発生する高波浪の予測については,台風起因の予測は容易ではないのに対し,温帯低気圧起因については発生割合を示すことで有用な情報となる可能性が示された.