2019 年 75 巻 2 号 p. I_528-I_533
本研究では,大阪湾で施工されている漁場における人工魚礁による流動制御機能について,成層の安定度を指標として,定量的に評価することを目的とした.現地調査によりデータを収集した後,成層の安定度の指標であるRi(リチャードソン数),ME(混合効果),UE(湧昇効果)を算出し,魚礁区と対照区で比較を行った.調査の結果,魚礁区内は下流側の観測地点よりRiが小さく,UE>0であることから,下層水が湧昇し,混合していることが明らかになった.これにより,人工魚礁群により海水の混合,湧昇が生じていることが示され,流動制御機能に関する定量的評価のための知見を得ることができた.