土木学会論文集B3(海洋開発)
Online ISSN : 2185-4688
ISSN-L : 2185-4688
海洋開発論文集 Vol.35
大規模アンサンブル気候予測データ(d4PDF)に基づく有明海周辺での台風特性の将来変化に関する検討
井手 喜彦竹田 聖二児玉 充由山城 賢橋本 典明
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2019 年 75 巻 2 号 p. I_55-I_60

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抄録

 台風の常襲地帯であり高潮災害に対する脆弱性が高い有明海では,温暖化した将来気候において生じる高潮および高波を把握することが強く望まれている.そのためには台風特性の将来変化について妥当性の高い検討が必要である.そこで,本研究では大規模アンサンブル気候予測データ(d4PDF)を用いて有明海における台風特性の将来変化を評価した.評価には,一般的に扱われる台風強度や来襲頻度に加え,高潮に大きな影響を及ぼす台風の進行方向や経路の曲がり具合についても議論し統計的な解析を行った.その結果,将来的に有明海の西の海上を通過する台風の勢力が増すこと,また来襲する台風の進行方向のばらつきが大きくなること,さらに勢力の強い台風において右に転向する経路を取る台風が増加することなど,今後の高潮高波推算に資する有益な知見を得た.

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© 2019 公益社団法人 土木学会
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