2021 年 77 巻 2 号 p. I_745-I_750
地球温暖化の影響により高潮がさらなる脅威となっていく中で,資産の多くが標高の低い地域に集積している我が国においては,今後より一層高潮予測へのニーズが高まっていくものと考えられる.本研究では,台風進路の僅かな違いに大きく影響される高潮に対し,アンサンブル気象予報を用いて2019年19号台風による事後予測,及び2020年に実際に日本に接近した10号,12号,14号台風を用いてリアルタイム予測を実施し,最大潮位の見逃しがない予測システムの構築を目指した検討を行った.検証の結果,幅のある予測によって,台風が対象海域に接近する120時間前から概ね最大潮位を見逃さず予測できることがわかった.今後,解析事例をさらに増やしていくことで課題の解決を進めるとともにより一層,提供情報を充実させていく予定である.