抄録
本研究は,一方向材からなる引抜成形GFRP溝形材(C75)のせん断耐力を材料試験の結果を用いて評価することを試みたものである.はじめに,JIS K 7019およびASTM D 5379に準拠したクーポン試験を実施して,せん断弾性係数,せん断強度を実験的に求めた.次に,せん断破壊を生じるような,はり部材の3点曲げ載荷実験を行って,はり部材としてのせん断特性を評価した.その結果,JISに準拠した試験では,試験片の45°方向の切断縁が破壊の起点となり,せん断強度が小さく評価された.ASTMに準拠した試験では,せん断力の作用が再現されるため,応力集中による補正を行うことで,はり部材の3点曲げ載荷試験と近い結果が得られた.これらより,一方向材のGFRP溝形材のせん断特性は,ASTMに準拠した試験により,概ね評価できることが確かめられた.