2017 年 73 巻 5 号 p. II_20-II_31
炭素繊維を強化材とするCFRPは高弾性・高強度であること,現場でのハンドリングに優れることから,鋼構造物の補修・補強に適用されている.本研究は,大型FRP構造物の製造方法の一つで,真空含浸工法(VaRTM;Vacuum assisted Resin Transfer Molding)と呼ばれる成形技術を用いて,CFRPと鋼構造物を一体化させる補修工法の開発を目的としたものである.ここでは,鋼鈑桁橋の桁端腐食部を対象に,真空含浸工法による補修効果について実験的な検討を行った.その結果,含浸工程の時間が短時間で完了すること,柱部材の耐荷力が腐食前の状態の耐荷力まで回復することが確かめられた.