抄録
本研究ではOpenStreetMapの道路ネットワークに関するデータと国土地理院基盤地図数値標高モデルによる標高データを利用し,中山間地の集落の地震時の孤立可能性を道路ネットワークの非連結確率として定量的に評価する手法を構築した.道路ネットワークを構成するノードとリンクの破壊確率は,酒井ら(2013)による斜面崩壊率の評価式を用いて求め,モンテカルロ法により指定した集落と防災拠点として想定した自治体庁舎との間の道路ネットワークの非連結確率を計算した.構築した手法による評価に対して,対策の有無及び利用する数値標高モデルの影響について考察した.さらに,中山間地の地震時孤立可能性の評価に対してOpenStreetMapを利用することの利点と問題点について整理した.