日本皮膚免疫アレルギー学会雑誌
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Print ISSN : 2433-7846
症例
市販栄養ドリンク剤に含まれた合成タウリンによるアナフィラキシーの1例
井上 友介足立 厚子白井 成鎬山野 希
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2020 年 3 巻 2 号 p. 313-317

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抄録

 38歳,男性。30分間のランニングをした後に市販の栄養ドリンク剤を1本服用したところ,30分後に全身に蕁麻疹が出現した。その後意識消失し,救急搬送された。後日,原因精査を希望し当科を受診された。栄養ドリンク剤as isのプリックテストにて陽性を示したため,成分別プリックテストを施行した。合成タウリン(1%)のみ陽性を示し,ほかの成分はすべて陰性であったため,栄養ドリンク剤中の合成タウリンによるアナフィラキシーと診断した。栄養ドリンク剤による即時型アレルギーの報告は少なく,合成タウリンでの報告例は韓国からの1例のみであり,調べ得た限りではわが国で初の報告例である。タウリンは哺乳類の成長に重要な栄養素で,牡蠣やイカなどの食品に天然タウリンとして含まれるほかに,多数の栄養機能食品に配合されている。自験例はイカなど天然タウリンを多く含む食品の摂取制限は必要とせず,合成タウリンを含有する栄養機能食品の禁止のみで,再発はない。

(日本皮膚免疫アレルギー学会雑誌,3(2):313-317,2020)

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© 2020 一般社団法人 日本皮膚免疫アレルギー学会
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