2017 年 1 巻 Pre 号 p. 17-20
筆者らはこれまでに「ヒロシマ・アーカイブ」をはじめとする,戦災・災害のデジタルアーカイブを制作してきた.これらの事例では,多元的なデータが一元化され,VR/AR空間にマッシュアップされている.この表現手法によって,過去のできごとがランドスケープに重ねあわされ,身の周りに着地するようになる.これを「多元的デジタルアーカイブズ」と呼ぶ.さらに広島においては,市民が参画するボトムアップの運動体が生まれ,資料を収集し,アーカイブを利活用する営みが進行している.これを「記憶のコミュニティ」と呼ぶ.これらが組み合わさることで,災いの記憶を未来につたえる「オーラル・ランドスケープ」が形成されている.本発表では,筆者らのコンテンツのデモンストレーションを通して,「オーラル・ランドスケープ」のありようについて述べる.