日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌
Online ISSN : 2434-2254
Print ISSN : 1343-8441
研究報告
摂食・嚥下活動における鼻咽腔閉鎖機能の調節
―咀嚼運動を模した舌変位時の方向と口蓋舌筋活動の関係―
舘村 卓尾島 麻希野原 幹司和田 健
著者情報
ジャーナル フリー

2003 年 7 巻 1 号 p. 41-46

詳細
抄録

目的:口蓋舌筋は口蓋舌弓のなかに存在し,軟口蓋の口蓋腱膜と舌の側縁に付着することから,軟口蓋と舌の双方の運動に関係する筋群の1つであり,咀嚼と嚥下動作の両方に関与することが考えられる.しかしながら,口蓋舌筋活動の摂食・嚥下機能への関与については十分には明らかになっていない.摂食・嚥下機能への口蓋舌筋の役割の一端を明らかにするために,本研究では,咀嚼運動時の舌運動方向を模した運動を指示した際の口蓋舌筋活動を検討した.方法:4人の健常成人を被験対象とした.個々の被験者に,(1)舌尖で左口角を触れる動作,(2)舌尖で右口角を触れる動作,(3)舌を前方に突出する動作,(4)奥舌を挙上する動作,以上の4種の運動を指示した際の口蓋舌筋活動を採取した.筋活動は,経口腔的に刺入した有鈎針金電極を用いて双極誘導で導出記録した.筋活動の計測は,積分筋電図波形を対象とした.結果:すべての被験者において,舌尖で電極刺入側の口角を触れる動作と奥舌を挙上する動作で他の動作よりも大きい筋活動を示した.結論:口蓋舌筋は,咀嚼時に舌が食塊を臼歯部咬合面に載せる際の舌の側方運動に関与している可能性が示された.

著者関連情報
© 2003 一般社団法人日本摂食嚥下リハビリテーション学会
前の記事 次の記事
feedback
Top