2005 年 9 巻 2 号 p. 166-171
良好な口腔ケアの効果を得るには,その効果に影響する因子を把握する必要がある.本研究の目的は,口腔ケア後の口腔清掃度と舌苔量,口臭に影響する因子を明らかにすることである.
対象は,特別養護老人ホーム入所者のうち,3か月以上の口腔ケアが行われた68名で,生活自立度や口腔清掃自立度に応じた口腔ケアが行われた.性別は男16名,女52名で,年齢は60~102歳 (平均85歳) であった.口腔清掃度,舌苔量,口臭 (各4段階評価:1-4点) を従属変数,性別 (1項目),年齢 (1項目),生活自立度 (2項目),口腔清掃の自立度 (3項目),口腔ケアの状況 (2項目),口腔内の状況 (6項目) の計15項目を独立変数として,重回帰分析を用いて口腔ケア後の口腔内状態に影響する因子について解析した.
口腔清掃度の平均点数は1.8,舌苔量は1.4,口臭は1.1で,口腔内状態は概ね良好であった.重回帰分析の結果では,口腔清掃度には口腔清掃回数 (p=0.001,標準偏回帰係数β=0.363) と義歯使用 (p=0.040,β=-0.277),舌苔量には唾液湿潤度 (p=0.004,β=0.331) と性別 (p=0.007,β=-0.306),口臭には口腔清掃回数 (p=0.003,β=0.352) が影響していた.
良好な口腔ケアの効果を得るには,口腔清掃の回数を増やすこと,義歯をできるだけ外すこと,口腔内を湿潤させることが有効と考えられた.