2019 年 52 巻 7 号 p. 443-450
【目的】エボカルセトの導入期の有効性と安全性を検討した. 【対象と方法】二次性副甲状腺機能亢進症を合併した当院通院中の維持血液透析患者でシナカルセト塩酸塩 (シナカルセト) 12.5~50mg/日投与中の57例にシナカルセト中止後, エボカルセト1mg/日から投与開始した. intact PTH (iPTH) は60~240pg/mLを管理目標値とし, 12週観察した. 【結果】12週後のエボカルセト投与量は1mg, 2~4mg/日がそれぞれ42.1%, 49.1%で, ビタミンD製剤追加は5.3%であった. iPTH値≤240pg/mLの症例は0, 12週後がそれぞれ71.9%, 64.9%で, シナカルセト37.5mg/日以上投与例で減少した. 補正Ca値7.5mg/dL以下を呈したのは1例で, 上部消化管症状は認めなかった. 【結語】シナカルセト50mg/日の症例ではiPTHの上昇を認める症例もあるが, エボカルセトは安全で有効と思われた.