日本透析医学会雑誌
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原著
新型コロナウイルス感染症の血液透析患者に対するカシリビマブ/イムデビマブの使用経験
酒井 敬史吉川 憲子井上 暖内田 貴大小島 糾冨安 朋宏山田 宗治尾田 高志
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2023 年 56 巻 2 号 p. 51-56

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抄録

血液透析患者の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対して中和抗体の重症化抑制効果が期待されている.2021年8~9月に当院に入院したCOVID-19血液透析患者のうち,適用基準を満たしカシリビマブ/イムデビマブ(REGEN-COV)を投与した8症例を紹介する.投与例の平均年齢は72.8歳,男性5人,ワクチンの接種歴は2回4人,1回3人であった.COVID-19発症から平均3.8日目にREGEN-COVを投与した.REGEN-COV投与前に肺炎像を4人に認めた.慢性腎臓病以外の重症化リスク因子を7つ認めた症例のうち1人はREGEN-COV投与前に肺炎像を認めなかったが,投与後に新規に酸素需要と肺炎像を認め,13日目に死亡した.REGEN-COV投与後は良好な経過を辿った症例が多かったが,重症肺炎発症例も認めた.血液透析患者においてREGEN-COVは,重症化リスク因子数が多い場合に重症化を予防できない可能性がある.またオミクロン株には有効性が減弱する報告もあり,REGEN-COVの使用には重症化リスク因子数やウイルス株への配慮が必要である.

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© 2023 一般社団法人 日本透析医学会
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