日本透析療法学会雑誌
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維持透析患者におけるHS-PTHの有用性について
森 忠三海江田 浩之喜田 浩
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1991 年 24 巻 2 号 p. 157-162

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抄録
副甲状腺ホルモン (PTH) 測定法の1つであるHS-PTH (ヤマサ) の維持透析患者における有用性を検討した. 透析歴2年以上, DMの合併や抗癲癇薬, 副腎皮質ホルモン剤等の投与歴のない活性型Vit D製剤投薬中の63例・78検体につき, 血中のC-PTH (INC), INS-PTH (INC), HS-PTH (ヤマサ) を測定し各種PTH測定法の比較を行った.
HS-PTHはINS-PTH, C-PTHのいずれとも高い相関を示した (各々r=0.774, 0.967). 一方, C-PTHはINS-PTHと比較的高い相関を示した (r=0.689) が, INS-PTHが120pg/ml以下ではr=0.617, 100pg/ml以下では0.488とINS-PTHの低い領域において相関は低下していた.
過去半年間治療内容に変更のない同一症例で1か月の間をおいて再現性を比較すると, HS-PTHの変動係数が一番小さく, 初回検査時にINS-PTHの値が120pg/ml以上の例ではC-PTH, 未満の例ではINS-PTHが最も大きい変動を示し, INS-PTHは低領域で易変動性が認められた.
過去1年間の血清C-PTH漸増群と漸減群とで, 観察期間終了時にHS-PTHとINS-PTHの相関を見ると, 前者ではHS-PTHに比べINS-PTHが高値を, 後者では低値を示す傾向にあり, 副甲状腺組織における (1-84) PTHの合成あるいは分泌の状況の違いが, その挙動と深く関与していることが示唆された.
Vit D3投与維持透析患者において, HS-PTHのレベルとMD法を用いた骨病変との比較を試みたが, 明らかな相関関係は見出せなかった.
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© 社団法人 日本透析医学会
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