2006 年 39 巻 12 号 p. 1593-1596
透析患者の多嚢胞化萎縮腎 (acquired cystic disease of kidney; ACDK) に発生した両側同時性腎癌に対してハンドアシスト腹腔鏡下両側腎摘除術を施行した1例を経験したので報告する. 症例は44歳, 男性. 慢性腎不全で14年の透析歴がある. 2003年10月に腎のfollow up CTでACDKに混在する腫瘤性病変の疑いを指摘され当科を紹介された. 造影CTおよび, 造影MRI検査にて両腎に造影効果のある腫瘍性病変を認めた. 両側同時発生の腎細胞癌の診断で2003年12月8日, ハンドアシスト腹腔鏡下両側腎摘除術を施行した. 病理組織学的診断は両側腎腫瘍ともRCC, G2, v(-), INFα, pT1aであった. 術後24か月を経過した現時点において再発転移は認めていない.