Acetate free biofiltration (AFBF) の血圧保持は166 mEq/LのNaHCO
3補充液による高Na効果だと指摘がある. 今回われわれは安定維持透析患者10名に, 血液透析 (HD), 高Na透析, 血液透析濾過 (HDF), AFBFを実施し, 収縮期血圧 (SBP), 血漿Na濃度, 血漿浸透圧, 透析液および全量貯留したNa排液量を測定しAFBFの高Na効果およびその有用性について検討し以下の知見を得た. AFBF施行時の4時間目SBPはHDと比較し有意に高値で, 高Na透析およびHDFとの比較においても最も高値であり, 今回の結果からもAFBFの血圧保持効果が認められた. AFBF施行時の血漿Na濃度は経時的に上昇し, 4時間目は144 mEq/LでHDの4時間目と比較して有意に高値を示していた. またNa出納量 (推定値) においてAFBFはHDFと比較し有意に多くNaが体内に付加されていた. これは1.5L/h持続注入される166 mEq/LのNaHCO
3補充液によるものと思われる. この点がAFBFにおける高Na効果だと指摘をうける要因である. 一方, AFBFにおけるNa排液量は高Na透析と有意差はなく, HDおよびHDFと比べて有意に高値だった. これはAFBFにおいてNaは1.5L/hの限外濾過と比較的低濃度 (139 mEq/L) の透析液側に流れるバイフィルーSによる拡散にて除去されていると思われた. さらに高Na効果の指標として重要な血漿浸透圧ではAFBFは高Na透析のように上昇せず, 経時的に低下傾向を示していた. 以上よりAFBFの血圧保持は166 mEq/LのNaHCO
3補充液による高Na効果だけでなく, HDF効果および酢酸を使用しないことによる末梢血管の拡張抑制効果によっても血圧は保持され, 酢酸の体内付加がないAFBFは臨床上有用である可能性が示唆された.
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