抄録
伸展刺激による洞結節自動能亢進の機序を細胞膜の伸展感受性イオンチャネル (stretoh-sensitive ohannel) の関与の観点から検討した.ウサギ心臓から摘出した洞結節組織片にmechanical stimulatorを用いて0.3~2.0gの機械的伸展を5秒間加えると伸展張力に応じた自発興奮頻度の増加が生じた.この自動能亢進反応は伸展活性Cl-チャネルの阻害薬であるDNDS (5mM) やSITS (1mM) 作用下では有意に減弱した.一方, 伸展活性陽イオンチャネルの阻害薬であるgadoliniumや, ATP感受性K+チャネル阻害薬のglibenclamide, lfチャネル阻害薬のCs+は伸展刺激に対する自動能亢進反応に影響を及ぼさなかった.以上の結果より, 伸展活性Cl-チャネルが洞結節自動能の制御に重要な役割を果たすことが示唆された.