心電図
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III群抗不整脈薬により誘発された早期後脱分極並びに頻度依存性効果に対するKチャネル開口薬の作用
近藤 政彦堤 健真島 三郎
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1997 年 17 巻 1 号 p. 10-20

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抄録
E-4031, d-ソタロールによる心筋活動電位持続時間 (APD) の頻度依存性延長効果ならびに同薬剤誘発の早期後脱分極 (EAD) に対するKチャネル開口薬 (ニコランジル, Y-26763) の作用について検討した.雑種成犬より心室筋付着プルキンエ標本を作製し, E-4031 (1μM) 灌流下に刺激頻度依存性のプルキンエ線維APD変化を観察後, ニコランジルの添加灌流によるAPDに与える影響を記録した.次にE-4031 (10μM) , d-ソタロール (1μM) 灌流下に出現するEADに対する, ニコランジルおよびY-26763の作用を観察した.その結果E-4031によるAPD延長作用は, ニコランジルにより濃度依存性に抑制された.またE-4031, d-ソタロール誘発のEADは, ニコランジルまたはY-X6763の添加灌流により, 発火頻度が減少した後消失した.以上より, Kチャネル開口薬は, III群抗不整脈薬 (E-4031, d-ソタロール) の有する催不整脈を抑制し得ることが示唆された.
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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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