抄録
E-4031, d-ソタロールによる心筋活動電位持続時間 (APD) の頻度依存性延長効果ならびに同薬剤誘発の早期後脱分極 (EAD) に対するKチャネル開口薬 (ニコランジル, Y-26763) の作用について検討した.雑種成犬より心室筋付着プルキンエ標本を作製し, E-4031 (1μM) 灌流下に刺激頻度依存性のプルキンエ線維APD変化を観察後, ニコランジルの添加灌流によるAPDに与える影響を記録した.次にE-4031 (10μM) , d-ソタロール (1μM) 灌流下に出現するEADに対する, ニコランジルおよびY-26763の作用を観察した.その結果E-4031によるAPD延長作用は, ニコランジルにより濃度依存性に抑制された.またE-4031, d-ソタロール誘発のEADは, ニコランジルまたはY-X6763の添加灌流により, 発火頻度が減少した後消失した.以上より, Kチャネル開口薬は, III群抗不整脈薬 (E-4031, d-ソタロール) の有する催不整脈を抑制し得ることが示唆された.