抄録
【目的】川崎病におけるQT dispersionを, 冠動脈病変の有無により2群に分け比較検討した.さらに, その経時的変化を後方視的に検討した.【方法】対象は, 川崎病患児60例で, 冠動脈の拡大・瘤形成あり (有群) 19例, なし (無群) 41例である.また, 40例の健常小児を対照とした.QT dispersionは, GE Marquette社製QT Guard Systemを用いて自動計測した, さらに, 有群および無群について, 発症急性期から5~8年後の遠隔期まで比較検討した, 【結果】急性期では, QT dispersionは有群が有意に高値を示した (29.7±9.8msec vs20, 9±8.0msec, p<0.01) .発症から1年後, 2年後についても有群が有意に高値を示したが, 3年後は, 有意差を認めなかった.5~8年後の遠隔期においては, 再び有群が有意に高値を示した (38.0±17.2msec vs23.7±8.6msec, p<0.001) .【総括】川崎病では, 発症急性期より冠動脈病変の有無によりQT dispersionに差を認め, その後の経過でも冠動脈病変を有する群で高値であった.5~8年後にその差は再び顕著となった.冠動脈瘤の形成は, 急性期の心事故に関与するのみならず, 遠隔期における虚血性心疾患の原因となることから, 川崎病患児の経過観察において, QT dispersionの値とその推移は予後を予測するうえで有用であると思われる.