日本環境感染学会誌
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感染制御活動において薬剤師が力を発揮するためには?
小野寺 直人
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2021 年 36 巻 3 号 p. 142-148

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抄録

感染制御とは病院内すべての患者や職員に対する感染症の発生予防と拡大防止を目的とし,医療の安全と質の向上に大きく寄与する.職種横断的な関わりが必要な感染制御活動において,薬剤師の果たすべき役割は少なくない.岩手医科大学附属病院では,2004年4月に専従薬剤師が感染症対策室に配属されて以降,「感染経路別ゾーニングシステム」や「包括的抗菌薬処方管理策」の導入,「手指衛生向上に向けた取り組み」など,薬剤師も積極的に関わっている.感染制御専門薬剤師の理念は,抗菌薬の適正使用のみならず消毒薬や医薬品に関連する感染制御活動など,総合的な観点から関与するとしている.感染制御活動において薬剤師が力を発揮するためには,感染制御部門である感染制御チーム(ICT)および抗菌薬適正使用支援チーム(AST)での相互的な立ち位置を意識し,目に見える成果を上げることが望まれる.そこには薬剤師ならではの“情報収集・分析”の偏重から“企画・立案”にチャレンジし,自ら責任を負う覚悟も必要である.感染制御活動を俯瞰し,薬学の知識を基本とした科学的エビデンスにこだわった感染対策の立案,効率的な運用と的確な評価を行って,成果に導くことがその実現に向けた近道になると考える.

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© 2021 一般社団法人 日本環境感染学会
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