日本臨床救急医学会雑誌
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原著
救命救急センターでの検討から得られた悪性症候群の診断法の問題点とその改善策
田中 亮鶴田 良介藤田 基金子 唯金田 浩太郎小田 泰崇井上 健笠岡 俊志前川 剛志
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2008 年 11 巻 1 号 p. 1-5

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抄録

背景:悪性症候群(NMS)の症状は非特異的で多彩なため高熱をきたす他の疾患の除外は重要である。目的:救命救急センターにNMSが疑われるとして紹介された症例を調査し,診断に関する問題点について検討した。対象・方法:2002年4月から2006年9月までにNMSの診断で紹介された症例を後ろ向きに調査した。NMS以外の明確な診断が得られた症例をNMS否定群,LevensonとCaroffの診断基準のいずれかを満たした症例をNMS群とした。結果:対象は16症例で,NMS群は7例,NMS否定群は9例であった。前医のNMSの診断では,Levensonの診断基準を用いると15例が満たし,Caroffの診断基準では5例が満たした。筋固縮に関しては,NMS群の5例,NMS否定群の1例に認められた(p<0.05)。結語:NMS類似疾患には敗血症や脳炎など重篤な疾患が含まれ,鑑別にあたってはCaroffの診断基準,なかでも筋固縮が重要であることが判明した。

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© 2008 日本臨床救急医学会
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