2026 年 29 巻 4 号 p. 864-868
大腸内視鏡検査の前処置では下剤が広く使用されるが,腫瘍性狭窄を伴わず下剤投与のみを契機に腸管穿孔をきたすことはまれである。今回,前処置として内服した刺激性下剤単独により直腸穿孔をきたした1例を経験したので報告する。症例は62歳,女性。生体腎移植後で免疫抑制剤を内服していた。下剤内服後に当初認められていた排便が停止し,下腹部痛が出現したため,自ら救急要請し当院へ搬送された。腹部造影CT検査にて下部消化管穿孔と診断し,緊急開腹下にハルトマン手術を施行した。術中所見は直腸後壁に裂創と硬便の露出を認め,宿便性直腸穿孔と診断した。病理学的に腫瘍性所見はなく,腸管狭窄は認めなかった。免疫抑制状態や慢性便秘を有する症例では,下剤単独投与であっても腸管穿孔をきたす可能性があり,下剤内服後の腹部症状に対しては慎重な評価が重要である。