日本臨床救急医学会雑誌
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原著
閉鎖孔ヘルニアの臨床的検討
清水 聡広間 文彦広瀬 裕二二階堂 修相馬 祐人
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2000 年 3 巻 2 号 p. 235-238

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抄録

過去14年間に経験した閉鎖孔ヘルニア10例について検討したので報告する。年齢は71歳から98歳まで平均85.3歳で全例女性であった。本疾患に特徴的な理学的所見であるHowship-Romberg signを術前に認めた症例は6例(60%)であった。入院から手術までの日数は入院当日から8日までの平均2.6日で,術前に正診が得られた症例は5例(50%)であった。術中所見では,発生部位は右側6例,左側4例で,嵌頓内容はすべて回腸で,小腸壊死を起こしていた症例は3例(30%)であった。ヘルニア門の処理は壁側腹膜縫縮6例,放置2例,マーレックスメッシュによるヘルニア門の開鎖2例であった。転帰は1例のみ死亡し,再発は1例認められた。さらに最近6年間に経験した5例について検討してみると,Howship-Romberg signの確認と骨盤部CT検査により正診率は100%と格段に向上した。高齢者にとくに多い本疾患を救急の場では注意しておく必要がある。

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© 2000 日本臨床救急医学会
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