日本臨床救急医学会雑誌
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症例報告
MRIで特徴的所見を認めた急性散在性脳脊髄炎の1例
川出 尚史熊田 恵介山根 一和福田 充宏小濱 啓次平野 一宏
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キーワード: ADEM, MRI, SPECT
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2002 年 5 巻 3 号 p. 310-314

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抄録

急性散在性脳脊髄炎(acute disseminated encephalomyelitis,以下ADEM)は大脳白質を中心に散在性に病変を認める自己免疫性脱髄性疾患である。今回,大脳白質から脳幹,小脳,脊髄にかけて両側性かつ連続性に病変を認めた症例を経験した。症例は35歳,男性。感冒様症状を先駆として,意識障害,痙攣を併発し当救命救急センターヘ紹介となった。ウイルス性脳炎の診断にて治療を開始するも,意識レベルが低下,弛緩性の四肢麻痺を呈した。MRI T2強調画像およびFLAIR法において,大脳白質から内包後脚,脳幹,小脳,脊髄にかけて両側性に広範囲の高信号域を認めた。臨床経過と画像所見からADEMと診断し,ステロイド薬のパルス療法を開始したところ,神経症状の回復とMRI上で病変の縮小を認めた。また,SPECTでは血流量の低下を認めた。ADEMを疑った場合には,MRIは必須の検査であり,病変部位の同定だけでなく治療経過を追ううえで重要である。

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© 2002 日本臨床救急医学会
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