今回われわれは,ハムスター咬傷によるアナフィラキシーショックの1例を経験した。症例は17歳女性。ハムスターに右手を咬まれた10分後に右示指から右前腕部にかけて発赤と腫脹が出現し,さらに全身に紅斑と膨疹が広がり,呼吸困難も出現したため当院に紹介された。来院時,血圧82/54mmHg,全肺野に喘鳴を聴取し,ハムスター咬傷によるアナフィラキシーショックと診断した。抗ヒスタミン剤とステロイド剤の投与により呼吸・循環は安定し,翌日には局所所見も改善し退院した。近年のペットブームおよび住宅事情により手軽なペットとしてハムスターの飼育が広まっている。従来よリハムスターに対するアレルギー症状の指摘はあったが,今回ハムスター咬傷による致死的なアナフィラキシーショックを経験した。動物実験従事者だけでなく,一般市民にもハムスター飼育上の留意点として啓発する必要がある。