Japanese Journal of Endourology and Robotics
Online ISSN : 2436-875X
特集2 : 初心にかえって, TURBTの手技徹底検証!
TURBT初心者指導&上級医の認識を変える苦労話
池田 篤史野里 博和
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2022 年 35 巻 1 号 p. 38-44

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抄録

 筋層非浸潤性膀胱癌 (NMIBC) の標準治療である経尿道的膀胱腫瘍切除術 (TUR-BT) は, 泌尿器科医にとって, 習得しなくてはならない必須の手術手技である. この手術の質の向上は, 術後の膀胱内再発の抑制に極めて重要であり, 平坦病変や微小な播種病巣 (娘腫瘍) の見落としを防ぎ, 腫瘍の水平方向および垂直方向の十分な切除につながる. 術中のスコープの操作による膀胱内全体の万遍ない観察, 尿混濁や血尿, 視野にとらえるのが困難な部位へのアプローチ, 良悪性の解釈が必要な粘膜発赤, これらの適切な検出と診断は, まさに経験の成せる業なのかもしれない.

 では, 大前提として, TUR-BT術前の評価は適切になされているだろうか?筆者が所属する筑波大学附属病院では, 術前カンファレンスで, レジデントが外来カルテをもとにプレゼン資料を作成している. 果たして外来担当医は, レジデントが資料を作成するのに堪える情報を記録しているだろうか?画像は何枚撮影している?所見を膀胱の展開図にわかりやすく描けているか?腫瘍の形状や大きさの記載は?

 本稿では, 膀胱内視鏡検査とTUR-BTの質の向上のため, 私たちが開発に取り組んでいる見逃しを防ぐ人工知能 (AI) を利用した膀胱内視鏡検査支援システムについて紹介し, 初心者・上級医を問わず抱えているTUR-BT術前, 術中の課題, 術後フォローアップについて考察したい.

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© 2022 一般社団法人 日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会
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